サステナブル社会において地域企業が発展していくため、神戸大学と尼崎信用金庫は共同で、ESG要素に考慮したツールを作成し支援に取り組んできた。 本書では事業性を評価するツールを実際に活用した取引先企業の事例を紹介するとともに、地域金融による今後の企業支援のあり方を考える。
ESGの観点を考慮した事業性評価を推進するため、神戸大学経済経営研究所と尼崎信用金庫は、2022年度より共同研究を進めてきました。本書は、その2年間の取り組みの集大成として、2024年5月に神戸大学で開催されたシンポジウム「ESG地域金融がつくる中小企業の輝く社会」における議論の記録に加え、尼崎信用金庫が実際にツールを活用した事業性評価の実践事例を詳述しています。
さらに、信金中央金庫との共同研究の一環として2024年1月に実施された大規模アンケート調査の結果も収録し、中小企業の脱炭素化に向けた現状と課題を明らかにしています。特に、本書では、脱炭素化支援が単独で機能するのではなく、本業支援と一体的に取り組む必要があり、信用金庫の強みと両立しうるという重要な知見を提示しています。
ESGを軸とした地域金融の新たな可能性を探る金融機関関係者はもとより、地域経済の持続的発展に関心を持つすべての方にとって、示唆に富んだ一冊です。
経済経営研究所 教授 家森信善